Little AngelPretty devil 〜ルイヒル年の差パラレル

    モザイク・ハッピー・バースデイ
 



 この冬はなかなかに、冬らしい冬であるらしく。東北や北陸では観測史上最悪とまで言われたほどもの豪雪となり、暖房器や防寒具も飛ぶように売れている。夏は連続して猛暑になったのでてっきり今年も暖冬かと思ったんだがなと。しゃれたデザインのダウンジャケット、ふかふかファーの襟に真っ白な頬を埋めつつ、ひょこりと小首を傾げてたおチビさん。カチューシャみたいな、ヘッドフォンみたいな、いかにも子供が使うようなイアーマフの耳当て部分も、同じ純白の毛足の長いファー。頬に躍ってはくすぐったげな、淡い金の髪を風にもてあそばれてた、小さな姿は何とも儚げで愛らしかったのに、
『妖精みたいとか、今思っただろ? ルイ。』
 柄じゃないからやめとけよなと、せっかくの可憐な作りの口許を、真横に引いて“にししvv”と笑った腕白小僧。

  “………だったら あのだな。”

 長めのジャケットの裾近く。深めのポッケに両手を突っ込み、コーデュロイのおズボンはいた細っこい脚も、お膝を真っ直ぐに突っ張って ぴょこりと。子供服のモデルよろしく、何とも愛らしいポーズ取って見せたり、後からゆっくりと歩いて来てた長身のお兄さんを振り返り、舗道の隅っこで舞ってた落ち葉と一緒に、軽やかなスキップなんか踏まないでほしいんですけれど。ほわほわ柔らかそうな頬にほのかに朱を散らし、少し急ぎ過ぎた先で、早く追いつけと待っている。日頃はいかにもやんちゃそうに、溌剌とした力みを張ってる金茶の瞳。それを少しばかり細めて“くすくすvv”と、楽しげに笑ってるお顔が まあまあ何とも愛らしくって。

  『…ルイ?』

 ちょこちょこって間際まで寄って来て、おややぁ?とこっちを見上げて来る。寒風吹きすさぶ中だからって、ヌクヌクに重ね着してたのはお互い様だったが。こっちのふっくら厚めのダウンのジャンパーの上へ小さな手を添え、そのまま両腕を広げて ぱふんって抱きついて来た感触の。もどかしいような、でも間近い圧の感覚は何だか。小さいからこその非力さがささやかで切なくて、何とも言えぬ愛惜しさがあって。


  『顔が赤いぞ? 寒いのか?
   しょーがねぇなぁ、早くバイクんトコまで戻ろ。
   お家に帰って、今夜は宴会だっっ!』


 …って、おいおい。何でお前がそんなこと言い出すかな。だから、軽く飛び上がっただけで、何で顔と顔がこんな間近に? こ、こら、よせよせ。顔をなめるな。キングか、お前は…。//////////







  「るい〜〜〜っ、起っきろ〜〜〜〜っっ!! もう10時だぞ〜〜っ!」
  「あうあうあう・わんっ!」
  「どあ〜〜〜っっっ!!!」


 どんなに若い人であれ、いきなり腹に馬乗りになるとか、耳元で大声で叫ぶとか。あまりに唐突で意表をつくよな起こし方をするのは、色々と体にはよくないので、遠慮してあげた方がいいそうですよ? 小悪魔くん。
(苦笑)







            clov.gif



 いやにリアルに厚手のダウンのジャケットを着ていたような感触があったのは、布団の上からゆさゆさと、坊やの小さな手で揺すぶられたその感覚が伝わったからだったらしくって。ベッドの主がようよう目を覚ましたと確認すると、ふかふかな毛並みのシェルティくんと競走するよに窓辺まで駆けてって、冬用のそれへと変えてあったカーテンを、次々にしゃっしゃっと小気味よくも開けてゆき、
「まったくよぉ。去年と一緒かよ、進歩のない。」
 双方ともに学童、はたまた生徒という“就学生”だってのに、平日の昼間っから此処に…葉柱家の次男坊のお部屋にいるという点からして、実をいうと昨年と全く同じであって。しかもその上、
「昨夜の内に、族の面子で酒盛りしたんだってな。」
 それでの宿酔いを“風邪引いての発熱です”なんて誤魔化して、ガッコをサボってる立派な不良ぶりまで同じの総長さんへ、しょむない奴だなと一丁前に胸高に腕を組んで呆れている小悪魔坊やだったが、
「お前こそ何でまた。」
 ほのかに暖房がかかっており、インナーだけでも寒い筈はない部屋だというのに。明るくなった窓辺から戻って来ると、わしわしとお膝から乗り上がって来たベッドの上、勝手知ったる…というノリにて掛け布団をばっさとめくり、パジャマ姿のお兄さんのお膝といういつもの定位置へ馬乗りになって、それで落ち着いたらしい小さな坊やが言うには、

  「学級閉鎖だ。」
  「嘘をつけ。」

 これも立派な“慣れ”というのか、間髪入れずという総長さんからのお返事のタイミングもまた お見事なこと。ホントだったら。じゃあ何で外を出歩いとるんだ、貴様。インフルエンザのウィルスがいるだろう、人が多いところにお出掛けしちゃいけないってだけだもの、
「ルイのおばちゃんが寄越してくれた車で来たんだから問題はないぞ。」
 えっへんと胸を張った坊やだったのへ、ベッドの下からはキングが“おんっvv”と、どこか誇らしげに仰向きながらの合いの手を一声。

  “おふくろ〜〜〜。”

 大方、在宅しているに違いない身だのに朝食の場へ起き出して来なかった次男だったのへ、せっかくのお誕生日だってのにだらだらと寝たくって過ごす彼だってのを見越してのこと。ルイちゃんを床から引き剥がすのにこれほど適任はいないと知っている辺りが、さすがは周到でもあって。手回し良すぎだぞお母様と、次男坊が二日酔いの頭を抱えたのは言うまでもなかったりして。小さい小さいとはいっても、もう二年生。体つきこそ まだまだお兄さんより幾回りも小さいとはいえ、お膝に乗っかったりすれば目線の高さだって間近くもなる。

  「ほら、とっとと着替えな。」
  「判ったから、そこをどけ。」
  「どかしてみなよvv
  「お〜し。」

 押しのけるのかと思いきや、だったらしがみついて離れないんだからと仕掛かったところが、思わぬ方向へ…そのまま背中からぐんと押されて、すぐ目の前の胸板へぎゅうと押しつけられるカッコになった。脇へ力任せにどけるのではなく、抱えたまんまでベッドから降り立とうと構えたらしき総長さんであり、
“う………。////////
 そこへと押しつけられる格好になった、パジャマ越しの匂いと温みと、堅い胸板。背に回されてる頼もしい腕。セットされてない寝乱れた直毛が、彼のお顔に少しほどかぶさっていて。脚を降ろしがてらに横手へと回してから、さてとベッドから身を起こすと。少し前かがみになるのに合わせて、その毛先が懐ろの坊やの頬へもかかる。鞣した革みたいな肌がきゅっと締まって張りついた、どこかいかつく、でも色香もある、首の線が引き込まれるように続いてる先。ボタンを留め忘れてるパジャマの襟元からは、鎖骨の合わせだとかがほんの間近に覗いてて、
“えっとぉ。/////////
 あれあれ? 何でかなぁ。見慣れてるはず、触り慣れてるはずのルイなのにね。ちょこっとドキドキしたりして。こっち向いてないのにな。荷物扱いなんだのにな。
「ほれ。此処で待ってな。」
 立ち上がってそのまま、くるりと振り向き、自分が寝ていたベッドへと、坊やを降ろした所作も何とも自然で。さすがはアメフトボウラーの馬力と、その力持ちっぷりに ちと翻弄されちゃった坊やだったが、
“??? /////////
 何でこんなにドキドキするのかしらと、自分で自分に“はてな?”を飛ばす。視線の先では、適当なカーディガンを羽織って、顔を洗いにとお部屋から出てゆく大きな背中。ドアの手前で一旦停まって、こっちを振り向き“ちちちちっ”と舌を鳴らしたのは、坊やの足元に伏せていたキングを呼んだかららしく。むくりと起きた小さなわんこは、坊やの方を振り仰いでから、とたとたとカーペットの上を弾むようにそっちへと向かい、
「ちょっと待ってろな。」
 坊やに言い置き出てったところで、
“…ああ危なかった。”
 ついつい胸を撫で下ろしてる妖一くんだったりしたのは、あのね? 葉柱のお兄さんが“おいでおいで”と舌を鳴らして呼んだのへ、危うく自分が立ち上がりかけたからに他ならず。そんな分かりやすい大ボケをかましてどうするかと、何だか調子の違う今日の自分へ“むむう”と眉を寄せてみたりして。

  “やっぱ、少しほど寝不足なのかもしんないな。”

 そんなな言いようをしながら くあぁあ〜っと欠伸をしてしまうった彼だったのは、強がりでも誤魔化しでも何でもなく。この、お母様を心配させることだけは何をおいてもやんないぞと、堅く堅く心に決めてる坊やには珍しくも。それと分かりやすくも心配させちゃった“夜更かし”を、ほんの3日ほど続けたのは眞
まことの真実だったもんだから。ベッドにいることを幸いに、コロンとそのまま寝そべってしまっても良かったけれど、そうしちゃうと寝入ってしまいそうだから…と飛び降りて。お部屋の一角、戸口に間近い書架の陰へと駆け足でその身を運んだ。


   ――― はてさて、今日は何の日だvv








            ◇



 さっきの会話の中でも、坊やが持ち出した格好で出て来たが、昨夜遅くまでバイクとアメフトのお仲間たちが盛大な宴を張って祝ってくれたのが、この葉柱ルイさんの17歳のお誕生日で。カウントダウンをしながらという形態も昨年と同じなら、その後の飲み会へのなだれ込みというパターンまで一緒だったのだけれども。少々異なっていた点もなくはなく、
“女連れが多かったよな。”
 昨年やその前のは、男子の絶対数の方が断然多くて、単なる馬鹿騒ぎって感じだったのが、今年の集まりはどこか華やかだったというか。料理や酒の品揃えから、その場でのお世話や機転や気遣いまでも、なかなか細かく気を回していただいての至れり尽くせり。ただただわあわあ騒ぐばっかな荒くたい祝宴よりも、ほんわかとしていて居心地がソフトで。そんなせいでか、泥酔したりするバカ者が、今年は一人も出なかったのかも知れなくて。とはいえ、
“いつの間にって感じでもあったけどな。”
 自分と同じく、アメフトとバイクへの関心と…たまのレクリエーション
(喧嘩)とで、体力も精力も使い切ってた筈の面々が、一体いつの間にカノジョなんてものをキープ出来ていたのやら。女子の人にはどんなに食べてもまだ入る、デザート用の“別腹”というのがあると聞くが、男の子にもそういうのがあるってことなのだろうかしらと、妙なところでマメだったらしい仲間たちの意外な側面へ、今頃になって“う〜ん”なんて唸ってた総長さんだったりするのだが、
“不公平だわな、実際。”
 こっちはあなた、小学生の彼だもの。あんな遅くの祝宴に、まさか付き合えなんて呼べないじゃないのよと。うんうん頷きながら思ったところで、はっと我に返って…。
“………う〜ん。”
 自分がいかに“終わって”いるのかをあらためて噛み締めた総長さんだったのは、今更わざわざ言うまでもなかったが。
(苦笑)
「…おい。」
 顔を洗って、ついでに髪も大まかながら整えて、戻って来た自分のお部屋。扉の向こうへ、自然な反射で姿を探した坊やはと言えば、これまた勝手知ったる何とやらで、奥の間の壁に作り付けのクロゼットを掻き回し、今日のお兄さんのお洋服を選んでくださっているらしく、
「よし。今日はこのカッコだぞ。」
 前合わせだがボタンはない、ニットのロングカーディガンは、坊やが丁度羽織ってた、やはりロングのそれと、丈や編み目の粗さを合わせてのセレクトで。下に着るインナーは木綿のスムースジャージのセーターに、サンドグレイのカーゴパンツ。ご丁寧にも靴下まで引っ張り出して下さって、ほれとベッドの上へ置く。特に断る理由もなくて、おうと応じて着替え始め、慣れた様子で一式着付けて顔を上げると、
「…?」
 坊やの姿が辺りにない。脱いだパジャマをベッドの上へと放り上げ、
「おーい。」
 声をかけると、廊下へ出る扉とは別、日頃は使わぬ隣りの部屋へと通じている扉がわずかほど開いており、
「こっちだぞー。」
 そんなお声が返って来た。二間続きのお部屋なのは、小さかった頃に体が弱かったことから配された“乳母さん”がいつも傍らに居てくれたその名残り。今は誰も使ってはおらず、親戚筋の客人があって泊まる時などにベッドルームとして使う程度。そんなお部屋に入り込み、一体何をしているやらと、呼ばれたそのままそっちへ向かい、何の気なしに扉を開けば。柔らかな陽光の射し降りる、アラベスク調のカーペットが敷かれたその奥。ある意味では骨董品でもあるのだろう、ゴブラン織の刺繍も見事な、猫脚の小ぶりな長椅子に腰掛けて、金の髪を淡くけぶらせた坊やがちょこりと座って笑ってる。
「どうした?」
 女の子じゃああるまいに、着替えてる傍らにいるのが恥ずかしかったなんて筈もなかろう。何かの段取りかと小首を傾げて傍へと寄れば、
「ここ。」
 自分の傍ら、隣りの座面を小さな手がポンポンと叩くから。そこへ座れとの思し召し、聞いて差し上げんと並んで腰掛ければ、
「これ。」
 背後になってた背もたれへ、するりと降ろされた彼の腕。壁との隙間が多少は空いており、そこに隠してた“あるもの”を小さなお手々が引っ張り出した。両手で懐ろへと抱えたならば、坊やの胴体がすっぽり隠れたろうほどもの大物で。途中からは両手になったのをこっちからも手伝ってやれば、少々しわの寄ったクラフト紙の袋に詰められた何かであり。
「これ、やる。」
 まだお兄さんの手が添えられていたそれを、どうぞと差し出す坊やのお顔が、あんまり嬉しそうだったりしたからね。
「お、おう。」
 引き取ってお膝の上、大きな袋に入ったブツを見下ろす。形に重さ、感触からして大判のクッションのようで、いかにも雑貨店で何か買ったときのを使い回しましたという感じの素っ気ない包装ではあるが、ということは?
“…もしかして。”
 口を留めてるテープを剥がし、ごそそと中身を引っ張り出せば、現れ出たるは畳半帖ほどもあろうかという大きなクッションで。しかも、

  「…これって。」
  「おうっ、俺が縫ったんだぜ?」

 自慢げに笑ったのも無理はなかろう。だって、素人目にも判るほど、そりゃあかなりの大作だったから。アイボリーを基調に、真ん中に空き地を開けた格好にて、四角い額縁を思わせるようなデザインになっており。小さな四角がそれはたくさん、タイルかモザイク模様のようにぐるりと並んでいる。そういう柄模様の一枚布かと思ったら、とんでもなくって。1つ1つ、それぞれの色を成す小さな布を綴り合わせて織り成した模様であり。所謂“キルト”仕立てになっているそのカバーが何ともお見事。色々な緑をランダムに並べつつも、それがうるさくはないバランスになっており、
「ほら、おばちゃんや母ちゃんが通ってたサークルの。」
 ああそういえばと思い出す。今はもう忙しくなったので双方ともに通えなくなった文化サークルで習っていたのがこのキルトであり。そこで知り合った彼女らの、その出会いがこっちの二人をも引き寄せたのだが、
「お前も出来たのか?」
「うん♪」
 ってゆっか、凝った刺繍がある図案でなし、真っ直ぐにっていう運針が出来りゃあ何とかなるもんだって。そんな風に言い、
「つなぎ目のややこしいトコとかは母ちゃんに教えてもらったけど。」
 ほら、例えばこの角と角が合わさるとことかは、アイロンできちんと折り目をつけて、どっちに倒すかってのを統一して…なんて、指さしながら説明してくれた坊やの、その手の方へ、ふと注意が行った総長さん、
「…おいっ。」
 ついのこととて掴み取ってしまったのは、いつも綺麗にしている小さな白い手が、陶器のお人形さんのような、それでいて何をやらせても器用なその手が…絆創膏だらけになっていたから。肌色のテープだったこともあり、起きぬけのさっきは気がつかなかったが、こうして見れば何とも壮絶。1つや2つじゃあなかったし、そのお手当て自体も自分でやったのか、応急絆創膏のビニールテープのあちこちが、くちゃくちゃって縮こまっていたりもして。それからあのね、お兄さんからこんな風に驚かれようとは思ってもみなかった坊やだったのか、
「あ…あのなっ。これは、だから。ちょっと計画が狂ってサ。」
 ホントはもっと余裕で仕上がるはずだったのに、キルトに使う緑の布をたくさん集めるの、案外と手古摺っちまって。それで作業を急ピッチにって構えたら、いつもはやんないのに何でだか、針の先っぽで嘘みたいに何遍も指を突いちゃって…と。それこそいかにも焦った様子で、その場しのぎの言い訳を並べる様子が、何とも覚束無くもたどたどしいったら。そんな弁明に至るまでの何もかもに、不器用極まり様子ないのが。この子に限っては…有り得ないことなだけに、

  「ありがとな。」

 いくら器用ではあれ、裁縫なんてそもそも慣れぬことには違いなかっただろうしね。予定も狂って、ならもう諦めるか、もっと簡単なものに変えるとか。彼ほど機転の利く子なら、こんな風に懸命にならずとも済んだ方策を、いくらだって思いつけただろうにね。要領もいいし、口も立つしで、冗談抜きに…大人たちをいいように振り回し、手玉に取ったその揚げ句、涼しいお顔でいるような事態も結構この目で見せていただきもした、それほど強かでもあるお子様なのに。大事な手をこんなにしてまで、恐らくはその原因の寝不足になったほども頑張ってくれた彼には、子供らしい一途で不器用なところが見え隠れ。
“なあ、それって…。”
 俺、自惚れたっていいのかな。お前が見下げたり鼻を明かしたりしてしまう他の大人たちとは、ちょびっとばっか違う扱いされてるって、少しばかりは優越感を味わってもいいのかな。ああ、こんな順番で考えてること自体、やっぱ終わってんのかな、俺ってば。自分の大きな手のひらには、小さくて柔らかな手。いかにも子供ですというような、しゃにむなばかりの やんちゃさんの手ではなく。何もしてない時だって指が綺麗に揃ってる、そりゃあカッコのいい、愛らしい手。それが今は、痛々しいほどにテープで巻かれて傷ついてて………。

  “…え?”

 大好きなお兄さんの深くて広い懐ろへ、包まれるよに掻い込まれたことで。間近になった温もりにくるまれて…ついつい ほやんと、意識の焦点が曖昧になってたのは。やっぱりかなり眠たかったからだけど。そのままゆるやかに持ち上げられた自分の手が、一体どこまで持ってかれるのかなって、ぼんやり眺めていたならば。

  “…えっ。////////

 そぉっと触れた柔らかい感触に…ハッとした。まるで高貴な淑女を相手に敬愛や服従を捧げるかのように、傷だらけの手へ指へ、唇の先で触れてくれたお兄さんだったから。

  「大事にするからな。」

 ………え? あ…ああ、うん。クッションのことだよな。自慢の反射が凍りかかってて、他でもない坊や自身がちょこっとどぎまぎ。


  「でも、ちゃんと使ってくれねぇとな。」
  「うん。」
  「飾っとくためにって作った訳じゃねぇもんよ。」
  「だよな。」
  「……………。」
  「…どした?」
  「あのな、ルイ。////////




   ――― 俺の手って、そんないつまでも食べてたいほど美味しいのか?

        さあな。





   HAPPY BIRTHDAY! RUI HABASHIRA!



  〜Fine〜  06.1.20.〜1.21.


  *ちょこっとフライングものではありますが、
   葉柱のお兄さん、お誕生日おめでとうということでvv
   珍しくも総長さんが優位なまんまの終わり方でしたが、でもでも、この後、

    「ところでお前の誕生日っていつなんだ?」
    「さぁな。」
    「なんで俺には教えらんねぇんだよ。
     桜庭とか歯医者とか…他の奴らは知ってんだろが。」
    「♪♪♪〜♪」

   そういう会話が続くと楽しいかもです。
(こらこら)


  *そういや、去年はちゃんとしたBD作品を書いてなかったでしたね。
   (確か、陰陽師ものの“なれそめ篇”を書いてたのではなかったか。)
   今年はあなた、人気も急上昇中ですし、アニメで動いてますからねぇvv
   しかも当日…の翌日には、あのカッコいいライディング・テクをご披露して、
   セナくんを試合会場まで送り届ける、素晴らしい名場面だしvv
   ううう、今からごっつい楽しみでございますvv


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